嫌いなあいつの婚約者!?

 お母さんの言葉で、今日は図書館に来ることになった。図書館は流石に向こうの世界にもあったものだし、涼も今日はそれほど驚いている様子はなく、自分のではない宿題に真剣に向き合っている。

 勉強内容は特に向こうとも変わらず、むしろあっちの方が少し難しく感じるほどで、涼は手を止めずに次々に問題を解いていく。

 そういえば、向こうの世界ではこうして2人で勉強するということはなく、こんな姿を今までに見た事が無かった。

 こっちの世界の涼とはもちろん図書館なんて来たことはないし。

 涼は目の前の宿題に集中しているのに、私はその宿題をしている涼の顔を見てしまう。

 まつげ意外と長いんだな、とか、凹凸のはっきりした顔だな、とか……シャーペンを持つ指も長くて奇麗で、こっちの世界の涼は運動をやっていたせいかあまり手に関しては奇麗じゃなかったけれど、今目の前にいる涼は、どこを見ても洗練されている。

 本当に、同じなのは顔の作りと背くらいだけ……。

「桜?」

「あ、ううん」

 声を潜めて2人にしか聞こえない声でやりとりをするのだけれど、それがなんだかこそばゆい。

「どこか分からないところある?」

「大丈夫」

「そっか」

 そう言うと、再び宿題に集中し始めた。

 分かる。こんなに奇麗で、性格だって悪く無くて、好きだという気持ちを真っすぐにぶつけてくれる人を好きなる気持ち。

 私の幼馴染の涼だって、初めからこんなんだったら絶対に好きになってた。