嫌いなあいつの婚約者!?

「なんか、どっと疲れたけど面白かったよ」

 若者の街を歩いて回り、面白い雑貨が売っているお店に寄ったり、途中で生クリームたっぷりの甘々クレープを食べたりしていたらあっという間に夕方になった。

 その間涼は驚きっぱなしで、あっちの世界と比べたら刺激の強すぎる感じで、でもいちいち反応が面白くて飽きない1日だった。

「まあ、こっちの世界ではとにかく、家族の人とはあまり話さないほうがいいよ? こっちの世界の涼って愛想無くて無口だし。意地悪ばっかりしてくるしさ」

「そうなのか。うん、分かったよ」

「なんかあったらすぐに電話して。……電話の仕方、分かる?」

「大丈夫。分からなかったら、すぐに桜のところに行くから」

 と、きらっきらの笑顔を私に向けて言ってくる。

 眩しすぎて目が合わせられなくて、視線をずらす。

「ま、まあ、隣だしね、家。じゃあ、また」

「うん、じゃあ」

 


 


 

 
 朝、雨の音で目が覚めると、じいっと私の顔を見つめている涼が部屋にいた。

「な、なんでいるの?」

「桜の母がぜひって」

 もう、思春期の娘の部屋に、幼馴染だからって簡単にいれる親ってどうなの? と思いながら急いで乱れている髪を直す。

「き、着替えするから下で待ってて」

「あ、うん、分かった」

 朝から心臓が有り得ないほど早く動いて、それを鎮めるとために深く息を吸ってすうっと少しずつ吐いていった。

 ティシャツにジーンズの涼は、あっちの国の正装の涼よりも親しみやすさがアップしていて、どうも調子が掴めない。

 いつものように王子様的な格好ならば、なんとなく距離も掴めるのに。

 顔を両手で挟んで気合いを入れてからベッドを出た。