嫌いなあいつの婚約者!?

電車に乗っている間、涼は体を強張らせて緊張しているようだった。

 ようやく目的地の駅に着いて、とりあえず外に出ないで街の様子を眺める。

「な、なにか今日は街でイベントでもあるの?」

 交差点を行き交う群衆を見て涼は尋ねてきた。

「ううん、何もないと思うよ、これが普通だから」

「これが? すごい人の数だ」

「あ、ちょっと待ってて。なんか飲み物買ってくるから」

「ああ、うん」

 久しぶりにカフェチェーン店で、お気に入りのクリームたっぷりの甘々なフラペチーノを購入する。

 涼のところに行く前に、自分の分のそれを一口飲むと、懐かしい甘さが口の中に広まった。

 この、甘すぎるほどの甘さがたまに飲みたくなる。

 今日もその甘さは健在で、単純だけれど幸福度が増した気がした。

 そういえば、涼はあまり甘いものって好きじゃなかったけれど……。