嫌いなあいつの婚約者!?

って、今は涼のことなんて考えるよりも奏多さんの会話を楽しまないと損。

「本当はお見舞いに行きたかったんだけど、むしろうるさくて迷惑かなって思ってね」

「そんなことないですよ。……奏多さんなら」

「奏多さんならってことは、もしかして、涼くんは3日間お見舞いに来たのかしら?」

 杏里は私の少ない言葉から、全てを感じ取ってしまう。

「ま、まあ…………」

 奏多さんはふっと笑うと「愛されてるんだね」と言葉にした。

 それが嫌で嫌で、すぐに否定する。

「でも、私は……奏多さんに会いたかったんです。涼なんかじゃなくて。本当に」

「そうね、確かに。体調が悪い時って、好きな人の顔を見たくなるものよね。元気を貰えるっていうか」

「ありがとう、そんなこと言ってくれて」

 そう、まさにそう。

 奏多さんの顔を見ると、心の奥から幸せが湧き上がってくる。

 ふんわりとした優しい気持ちで包み込まれる。

「杏里は、どうなの? その後」

「お話とか、してるわよ。やっぱり、いいわよね」

「杏里も恋をするとは、大人になったなあ」

「もう、奏多さんと1つしか違わないわ」

「ははっ、確かに」

 その顔は、本当に彼のことが好きなんだと分かる表情をしていて、単純に羨ましいと思った。