嫌いなあいつの婚約者!?

そんなことを言われたら、罪悪感で心が埋め尽くされてしまうじゃない。

 まるで、私が涼のことを裏切っているようで。

 私は、これっぽっちも涼のことを大事になんかしていない。

 私と涼はきっと正反対で、これで本当にいいいの? と心の中のもう1人の自分が問い掛けてくる。

 良いも悪いも、そんなの仕方ないじゃない、だって私は涼のことなんて好きじゃなくて、むしろ嫌いだったんだもの。

 どうしろっていうの…………?

「ねえ、桜、今日は何の授業受けるの?」

「あ、えっと、マナー講座を。基本をもう一度振り返ろうと思って」

「ええ、それはいいわね」

「そうですね。マナーは大切ですからね」

 杏里がそっと私の手を握ってきて、そこから色々な感情が伝わってくる。

 杏里は本当はどう思っているの?
 
 涼という婚約者がいながら、奏多さんのことを好きだと言う私を軽蔑したりしないの?

 苦しい。心が、息を吸えていないような感じで、苦しい。