嫌いなあいつの婚約者!?

部屋に戻って、すぐにベッドの中に入った。

 いろんな感情が渋滞して、頭の中が混乱する。目を閉じると思い出すのはさっきの涼の姿で、それを無理矢理消そうと、奏多さんとの今日のことを思い返した。











 私と涼の幼い頃の姿が見える。

「桜、手出して」

「なあに? 涼くん」

 まだまだ幼くて、疑うことを知らない私はなにも考えずに涼の前に掌を見せた。

「ほい、プレゼント」

「あ、ありが、わっ、なにこれ、涼くんのバカっ」

 それは大きな芋虫で、私が虫が大の苦手だということを知っているにもかかわらず、涼は嫌がらせでそれを渡してきたんだ。

 涼は指をさして笑いながら私が困る顔をただ見ていた。

 


 ぐるんと場面が変わった。私と涼はさっきよりも大きくなっていて、多分中学生くらいだと思う。

「桜、これ持って」

「なんで? 自分で持てばいいじゃない」

「俺は徒歩。お前は自転車。お前の方が楽なんだから荷物くらい持ってくれていいだろ」

「じゃあ涼も自転車で通学すればいいじゃん」

「自転車なんて、いろいろ面倒だろ」

 涼に彼女ができるその日まで、なぜか涼の荷物の半分を私が運ぶ羽目に。

 涼は荷物が少ないから、軽々しく歩いて学校に。私は自分のにプラスして涼の分の荷物を乗せた重たい自転車で。

 本当に嫌なやつ、なんでこんなやつと幼馴染みなの、なんて何度思ったことだろう。