嫌いなあいつの婚約者!?

 とりあえず1日目を終えて、1階にあった温泉に入って疲れを取る。

 露天風呂まで完備されていて、星空の下で月を眺めながら浸かる温泉は、今までに感じたことの無いほどの癒しを与えてくれる。

 しかも、自分1人しかいなくて独占状態という最高のシチュエーション。

 歌なんかを歌いたくなったけれど、流石にそれはやめておくことにした。

 十数分、十分に体が温まったところで温泉から上がり、着替えをしてカフェに寄ってから杏里の部屋を訪ねた。

 苺のフレッシュジュースを片手に、今日のことを振り返りながら雑談をする。

 お風呂上がりの牛乳ならぬ苺ジュースは、最高に美味しく感じた。

「ところで、話したいことって?」

「あ、うん」

 ついに、話す時が来た。

 姿勢を正して、杏里と向かい合う。

 婚約者がいるのに奏多さんが好きだなんて言ったら、杏里はどんな目で私を見るだろう。

 軽蔑? 驚き? 意外にも落ち着いた目?

 1人であれこれと考えていてもなにも進まない。

 話そうと思えば思うほど、心臓の鼓動の速度が速くなっていく。