嫌いなあいつの婚約者!?

建物の中を一通り見て回ると、次は外に来た。

 太陽がさんさんと降り注ぎ、水色の海と白い砂浜を輝かせている。

 奏多さんの横顔を見ると、完璧ともいうことが出来るその造形にうっとりとしてしまう。色白の肌も、少し色っぽい目元も、私の視線を奪うには十分だった。

「外には、テニスコートとかゴルフ場とか、夏でも使えるアイススケート場とかがあるんだ。外の授業で一番人気は乗馬かな。あとは、散歩が出来る小道もあって、鳥の鳴き声を聴きながら歩くとすごく落ち着くよ。桜さんは、なにがしたいとかある?」

「奏多さんと、散歩がしたいかな」

「僕と?」

「はっ、いや、あの……」

 ぼーっとしていて、心の声をそのまま口に出してしまっていた。

 もう、恥ずかしすぎる。

「うん、いいよ。あ、でも、涼くんに許可を取らないとね」

 涼、という名前を聞いた瞬間一気に現実に引き戻された。

 そういえば今頃何をしているのだろうか、まあ、べつに一緒に居なければならない義務なんてないし、この1週間くらいは涼と顔を合わせなくてもいい。

 それより、奏多さんと親睦を深めたいの。

「お昼、どうしようか。桜さんと杏里は何か食べたいものある?」

「私はなんでも」

「奏多さんのおすすめがあれば」

「うん、分かった。じゃあ、行こうか」

 杏里が、こっちを向いて微笑む。

 もしかして、私の気持ちがダダ漏れで、奏多さんへの気持ちがばれてしまっただろうか。

 もしそうなら、杏里に何かを言われる前に私から話した方がいいかもしれない。友人に隠し事をしているみたいで、もやもやとしてしまうから。

「杏里、今夜部屋に行ってもいい?」

「ええ、もちろん」

「ありがとう」