「もう、好きにしてよっ」
鈴華さんは真っ赤な顔をして、走ってこの場を去る。
自分の気持ちを素直に言えたという爽快感と、鈴華さんに悪いことをしたかなという罪悪感が一気に押し寄せてくる。
でも、その2つを上書きする恥ずかしさが数秒後に襲ってきた。
「あ、あの」
好き、って言ったんだ……。言っちゃったんだよね……?
「あ、えっと……奏多さんに言わなきゃね。僕たちのこと」
僕たち……。
もう1人だけのことじゃくて、涼と私の2人のことになるんだ。
そのことが歯痒くて、でも嬉しくて、ニヤけてしまう。
「その……私のこと愛想尽かしたりしてない?」
「そんなわけないよ。それより、家族にも言わないといけないし、そっちの方が緊張するよ」
「たしかに……そうだね」
自分から婚約を破棄しておいて、結局は涼のことが好きだなんて、絶対に呆れられるし、下手したら怒鳴られたりするかもしれない。
でも。
もう、この気持ちに嘘はない。
誰が何を言おうと私は涼に惚れている。
「その……また、よろしくお願いします」
「うん、僕の方こそ」



