嫌いなあいつの婚約者!?

「杏里、放課後奏多さんのところに一緒に行かない?」

「ええ、もちろんよ。ぜひ」

 自分が好きになった人なのだから、同じ人にまたきっと恋をするはず。だって、恋って特別な感情でしょ? そんなに簡単に消えるものじゃない。

 婚約を破棄してまでなんだから、きっと相当好きだったのよ。

 涼くんに抱いているこの淡い気持ちは、まだ消すことができるはず。

 まだ、恋と呼ぶには小さくて、だけど無ではないこの想い。今ならまだ間に合う。

「桜、どうかした?」

「ううん」

「ねえ、今日のランチ、重三郎さんも一緒でいいかしら?」

「いいけど、もしかして……」

「この前、告白されたの」

「おめでとうっ」

「ありがとう、桜のおけげよ。好きな気持ちを大切にしようって思えたの」

 好きな人と恋人関係になれるなんて、すごく素敵で奇跡的なことだと思う。

 友人の恋が実る。それは私にとってもとっても大切で、重三郎さんには杏里のことを本当に大事にしてほしい。