嫌いなあいつの婚約者!?

 その後も、微妙な距離を保ちつつ、空が赤くなるまで、軽食を挟んだりしながら街中を散歩して回った。

「あ、あの。涼くん」

 涼くんと別れる前に、あのハンカチを渡さなくちゃ。

「どうしたの?」

「これ、その、プレゼントなんだけど……」

「えっ、僕に?」

「うん」

 涼くんは目を見開いたまま動かなくなった。

 夕焼けで染まる涼くんの赤い顔が、より赤くなっていくように見える。

 ぎゅっと、優しく包み込むように彼を抱きしめたくなった。

 でも、そんなことをしたらダメだと理性が働いて、なんとかその気持ちを心の奥底に押し込める。

「め、迷惑だった?」

「そんなはずないよ、すごく嬉しいんだ」

 涼くんはやっとそれを受け取ると、ありがとうと言って私の手を握る。

「大事にするよ」

「ただの、ハンカチだけどね」

「それでも」

 単純にその言葉が嬉しくて、心がとても晴れやかな気持ちになった。