嫌いなあいつの婚約者!?

「記憶喪失ですね。一部分の」

「それは……治るんですか?」

 私が忘れてしまったであろうあの2人の男の人。私にとって、2人はどんな存在なんだろう。

「そうですね、ふとした時に戻るかもしれないですし……」

 戻らないかもしれない。

「……そうですか、分かりました」

「頭を打っていますので、暫くは安静にしてくださいね。また来ます」

「はい、ありがとうございます」







 あれから言われた通りにあまり動かずにすごして、数日ぶりにようやく学校に来た。

 教室に着くと、杏里が寄ってくる。

「桜。良かった。記憶のこと以外は大丈夫そうね」

「うん、でも、杏里のことは忘れなくて本当によかった」

 私が忘れてしまったうちの1人の人は、同じ教室にいた。

 姿勢良く、なにかの本を読んでいる。

「ねえ、……涼、くん、だっけ。どんな人なの?」

 あれから結局何も思い出せなくて、元婚約者という情報だけが頭の中にあった。