嫌いなあいつの婚約者!?

「ここでいいわ」

 人のいない校舎裏に連れて来られる。

「あなた、奏多とはどういういう関係なの?」

 なんとなく予想はしていたけど、やっぱり奏多さん関係。

 多分、この人は奏多さんのことが好きなんだ。聞かなくても分かる。だから私が邪魔で、でも今私はれっきとした奏多さんの恋人。

「恋人……です」

「あなた、ついこの間まで婚約者がいたそうじゃない? それですぐに奏多に乗り換え?」

「乗り換えとか、そういうつもりは……」

 でも、傍から見たらそう見えるのかもしれない。そうよね。杏里だって言っていたもの。私が涼を好きだったって。

 そんな人がいきなり他の男の人と付き合うなんて、確かに軽いと思われても仕方ない。

「別れて」

「それは、無理です」

「私は、ずっと、ずっと奏多が好きだったのよ。幼い頃から。分かる? ねえ、分かる?」

 私を見る目が殺気立っていて、今にもここから逃げ出したくなる。

 でも、ここから去ったら去ったでその後のほうが恐ろしい。

「いたっ」

 黙っていると、その人は感情が高まってか、私の肩を掴んできた。しかも、結構な力。痛い。離してほしい。でも、怖い。

 力は弱まるどころか強くなっていく。

 誰か、助けて。

「お願い。ねえ、私から奏多を取らないで」

「そんなこと言われても……」