嫌いなあいつの婚約者!?

 あの後からなんとなく気まずくて、帰りの今の時間になるまで教室内でも涼を避けてしまった。

 涼も特に話してこないし、やっぱりもう私たちはこれで終わってしまうのかな……。

「桜さん」

 帰ろうと準備をしていると、彼女がやって来る。

「……何かしら?」

「あなた、何を考えているの?」

「…………何も、考えてないけれど」

 気まずくて鞄の中身を見ていると、まだ返していない苺のネックレスが見えた。

「私、帰るから」

「あ、ちょっと待って」

 帰ろうとした時、鈴華さんが鞄を引っ張った衝撃で中身が出てしまう。

 とにかくこの場から離れたくて、急いで鞄の中に落ちた荷物を突っ込む。

「ごめんなさい」

 初めてだった。彼女が私に申し訳なさそうな声を出すのは。

 でもきっとこれが最初で最後。

「いいのよ。とにかく、もう、鈴華さんが嫌がるようなことはしないから」

 それだけを伝えるのが精いっぱいで、速足で教室から出た。

 こんなに惨めな気持ちになるなら、最初から涼となんて関わりたくなかった。