嫌いなあいつの婚約者!?

「はあ、疲れた」

 一体何人の人に挨拶をして回っただろう、最後に会った人の顔くらいしか覚えていない。

 少し休憩をしようとジュースを飲んでいると、ついにダンスの時間になる。

 奏多さんが目の前に現れて、片手を私の前に差し出した。

「桜さん、いいですか?」

 その片手の上に、自分の手を乗せる。

「ええ、もちろん」

 全ての神経を奏多さんに注目させなければと思っているのに、何故か頭の中は涼のことでいっぱいで、その姿を探してしまう。

 どこ?

 今涼は誰と踊っているの?

 あ、いた。

「……なによ」

 彼女と手を取り合って、音楽のリズムに合わせて優雅に舞う姿が目に入ってくる。それに、なんだかんだ美男美女でお似合いなのがまた恨めしい。

 目の前の奏多さんに集中しなければ。でも、ダメだ。

 どうしても、2人の姿が気になってしまう。2人の表情が頭から離れない。もう、集中しなくちゃ。今この時間に。

 そんな葛藤しているうちに、1曲が終わってしまった。

「私、少し休みますね」

「そうだね、挨拶とかいろいろ疲れただろう?」

「はい」