嫌いなあいつの婚約者!?

 誕生日パーティー当日、私は大好きな人たちに囲まれていた。

「おめでとう、桜」

「ありがとう」

「おめでとう桜さん」

「ありがとうございます」

 華やかなドレスに身を纏い大広間でおしとやかに振る舞う。流石にいつものように品のない姿ではいけないと、かなり気を遣っていた。

 結局涼からダンスのことは何も言われなくて、今は遠くの方にいる彼の姿が見える。

 で、どうしてなのかあの人もいて。私のパーティーに来てまで2人でいちゃいちゃと話しているなんて、ちょっと常識外れじゃない?

 私の視線が2人に届いたのか、2人は私の姿を捉えると近付いてきた。

「桜さん、お誕生日おめでとう」

 ドレスアップした彼女は、ムカつくほどその姿が似合っている。

「ありがとう」

「桜、おめでとう」

「……ありがとう」

 涼はいつもの表情でいつもの話し方をしている。何か、私に言いたいことはないの。

「今日は楽しんでいってね」

「ええ、ありがとう」

 彼女は涼の腕にしがみついて、まるで私と涼を引き剥がすように元の場所へと戻って行く。それに対して涼は抵抗することはない。

 あの時のあの表情はなんだったの?

 心を搔き乱すあの表情、かと思えば今日は普段通りで。

「桜、皆さまにご挨拶しなさい」

「は、はい。お父さま」