「大人は若い頃だけって言うね」

「達観して、自分の首絞めてどんどん窮屈になってくの、責任を義務付けて、行き場を失わせてるのは自分自身だって、そんな大人にならあたしはなりたくない」

「うだつ上がんないもんねえ」





 それで自分が自分じゃなくなるんなら、

 生きてても死んじゃうよね。先のことはわからないけど、私が今十九だからそんなことが言えるわけじゃないと思う。この先、十年二十年経って、抱きしめたいものも、大事にしたいものも、人も景色も世界もいろんなものが変わっても、それでも支柱っていうの、大切にしたい自分のポリシーみたいやものってそう簡単に折れたり壊れたりしないから。


 そこは二番煎じじゃない。愛すべきこと。誇りを持つところ。だと思ってる。





 高校生のころ、

 もうこの瞬間って二度と来ないんだなんて思って日々を過ごさなかった。


 青春がそこに確かにあってさ。

 あたしはあたしの大切にしたかった感性を言葉にしたよ。知らない誰かの靴箱に入れて、匿名で使われてないロッカーの番号だけを伝えたら、そこに感想があってさ。
 人と群れるのが苦手で、女子の間でもちょっと浮いて孤立しちゃってても、ここにいないみたいなあたしをその感想って言葉が見つけて繋いでくれてたの。



 じょうず

 うまい

 すき

 ないた



 そんな具合にね。