春の始まりに、もう一度君に会いに行く。

帰りは田川君が送ってくれることになった。


一人で帰れると伝えたのだが、心配だからと聞かないのでありがたくお願いすることにした。


私には彼に対してずっと疑問に思っていることがあった。




何で私なんかと一緒にいてくれるのだろう。



彼の周りにはいつも人がいて、私以外にも仲良くできる人はいっぱいいる。




そんな中で彼が私と仲良くして何かメリットがあるのだろうか。






いつも不思議に思っていた。











「ねえ、田川君はなんで私と一緒にいてくれるの？」




思い切って聞いてみることにした。






田川君は一瞬驚いた顔で私を見て「なんでだろう、ただ佐々木さんと一緒にいるのが楽しいからかな」と答えた。






その言葉を聞いて、頬が熱くなるのを感じた。







家の近くまで来たところで後ろから「あれ、優芽？」と声が聞こえた。




振り向くと、お姉ちゃんが立っていた。






お姉ちゃんは、私の横の田川君に視線を移して何かを察したかのような顔をして「初めまして、優芽の姉の芽依です」と挨拶をした。




田川君も「あ、佐々木さんのクラスメイトの田川海人です」と挨拶を返した。






お姉ちゃんが「こんな子ですけど、優芽のことよろしくお願いします」となぜか言い始めたので、「そんな関係じゃないから」と制止し、姉の背中を押しながら家へ向かう。





田川君に「家すぐそこだから、もうここで大丈夫だよ。送ってくれてありがとね」とお礼を言い、家へ入った。







家に入るとお姉ちゃんが「えー、あの子彼氏じゃないの？てか、愛莉ちゃんと行くって言ってなかったけ？」と絡んできたので、適当に流して部屋に入った。







スマホを見ると新着メッセージの通知が届いていた。



LINEを開くと田川君から『今日は一緒に行ってくれてありがとう。楽しかった！』と来ていた。





律儀だなと思いながら『こちらこそありがとう！』と返信をした。









田川君と一緒にいるとたまに鼓動が早くなったり、頬が赤くなったりするのを自分で感じるし、一緒にいたいなと思う。












この気持ちは、恋なのでしょうか。