「俺ね、産みの親と育ての親が違うんだよ。産みの親とは十歳の時以来会ってない。その親も慎吾の親のように子どもに夢を押し付ける人たちだった。親の期待に応えられないと罵られて、暴力を受けることもあった。助けを求めたくても、求められなかったんだ」

だからこそ、弱い存在を守れるようになりたいと警察になったと範人は言う。そして、悠真に何故FBIから外されたのか訊かれた。悠真はビールを一口飲み、話す。

「俺にしつこく交際を迫る女性がいたんですよ。断り続けていたらストーカーだってありもしないことを言われて、FBIを辞めざるを得なかったんです」

「ついてないね〜。まあ、資料整理課のメンバーはみんなワケありだけど」

そう言い刺身を食べる範人に「違うんじゃないですか?」と悠真は言う。

「俺たちはチーム零です。資料整理課なんかじゃない」

悠真の真剣な目に範人は「おお!嬉しいこと言うね」とビールを飲んだ。

特殊捜査チーム零に悠はまだ入ったばかり。これから、戸惑うような捜査方法が出てくるのだろう。しかし、どんな難事件もこのチームなら大丈夫だと悠真は思いながらまたビールに口をつけた。