沖田が芹沢の行為にギョッとする

「お手伝いしたしましょう
しかし…私、丸腰ですので
沖田さんをお借りして良いですか?
沖田さんなら、私について来れますから」

「沖田」

「はい」

沖田が力強く頷いた

「では、芹沢さんと目星をつけに行きます
見つけたら、すぐ向かいますから
ついて来て下さい」

言ってすぐ、芹沢と燃える店の屋根へ


「総司!!どういうことだ!?
芹沢さんが火をつけたのか?
あ!?なんで屋根に!!」

「芹沢さんと一緒にいた女中らが
さらわれたらしい
葵と一緒に女中を助けに行く
よくわかんねぇけど
芹沢さんが葵に頭を下げた」


先日の佐々木の怯えた件もあり

葵の強さは想定していた


それが、地位なのか、武術なのか
定かではなかった

「芹沢さんがね…
総司、山崎に後を追わせる
俺が行くまで持ち堪えろ
葵を守ってやれ」



「おぅ」






「見つけた」

葵が呟いた

「沖田さん」


沖田が頷いた


屋根からするりと降り立ち、走り出す

沖田も同時に走り出す


先ほどより速い2人の背中
少し後ろを屋根伝いに走る山崎を見る


『ついていけよ』



屋根から降りてきた芹沢が火消しの指揮を執る

しばらくして

山崎が場所を知らせに戻った

「土方 沖田の加勢に行ってくれ
ここは、俺に任せろ」

「承知」


走りながら沖田との過去を思い出していた


心を許せる友を失った沖田
良い子を演じるようになった
本音も言わず、人と深く関わらなくなった

唯一、土方にだけ
素を見せる

時を経て、やっと沖田が代わり始めた

葵を失ったら



走りを速めた

気持ちが焦る