葵の女中勤めが残り数日となった頃

浪士組で宴が披かれることになった
仕事を終えた葵が、近藤に帰りの挨拶へ行く

部屋の中からは、近藤と客人の他に
土方と沖田の声がした

「近藤さん」

「どうぞ」

スッーと葵が扉を開ける

「ヒッ」

浪士組の客人、会津藩士佐々木只三郎が、葵を見て青ざめる

「本日の勤めを終えましたので帰ります」

佐々木に視線をやることなく、挨拶をした

「…知り合いかい?」


あんぐりと口を開けたままの佐々木ではなく、葵に質問した


「知り合いではありませんが
お客様は、私をご存知なのでしょう
しかし… ご存知ならば
過剰な反応をするべきではありませんでしたね
私は、ただの女中としてこちらにお世話になっている身
お客様が心配するようなことはありません」

「失礼した 申し訳ない…」

「お気になさらず
では、失礼します」