廃墟の前で沖田が立ち止まる

刀に手を掛け
屋敷の中を睨む


土方は、とりあえず伝わる緊迫感から抜刀し、沖田の様子を見る


「土方さん…もしも俺が斬られたら
迷わず逃げてくれ」

「…わかった」

「絶対…生きて帰ってくれ」

「おぉ」


土方にとって、沖田が斬られることなど想像出来ない事だった
負けず嫌いな沖田が、逃げてくれと頼むことも初めてのこと


タッ と、地面を蹴り

屋敷に入る


廃墟と思われた屋敷内に
ゴロゴロと人が倒れていて
血のにおいがした


赤い光がぽわんと辺りを照らす


「お前は…この前の?
葵は?一緒じゃないのか?」


会話をする余裕はなかった
沖田が振る刀を軽々とよけつつ






「お前、見えてるな?」