桜が咲き始めた頃


見廻組が発足し、その祝いとして
会津本陣で宴が披かれた

慶喜も参加していたが
そこに葵や一葵の姿はなかった


慶喜が二条城に戻る際
新選組が護衛を担当した


二条城に戻ると葵と一葵が出迎えた


「ご苦労、下がってよい」

慶喜が新選組に背を向けたまま言った

「失礼します」

皆が一礼する

「そうだ… 
新選組にもう一度言っておこう」

慶喜が振り返る

「俺は、2人を手放すつもりはない
例え…2人の心が新選組にあってもな」
 
慶喜が葵達と奥の部屋に行った


「慶喜様?なぜあのような言い方をするのですか?
まるで私達が行きたがっているみたいです
私は、新選組に行きませんよ」

「誘われて困ると申しておった故
誘うなと釘を刺したまで」
 
「俺、関係ないのに…」

「そうか?気にするな
あやつらは、無理強いしたりせんだろうが
近頃、こちらで育てた者が随分と
世話になっているようだからな」


慶喜が2人に微笑むと
手をヒラヒラ


下がれという合図


2人が部屋を出た



慶喜が表情を曇らせる


「行かせたくないんだ…すまん」