「葵斗は、あのように笑うのだな」

ポツリと慶喜が言った

2人は、返答しなかった


葵斗が露子と目が合うたびに
優しく、少し照れながら微笑む

新選組の隊士らが歌い、踊る

その芸に声を上げ笑う


「葵斗は、果報者だな
良い伴侶、良い仲間に恵まれた」




「良いものだなぁ」



慶喜の独り言をただ聞いた





宴が終わり、片づけを手伝った

「あの…葵」    「はい」

「私達…葵に謝りたかったの」

「…?何を?」

「あのね」

「須江さん奈津さん
謝らないで下さい
私は… 
私には…覚えのないことですから
おやすみなさい」


「あ…」  「あぁ…」


肩を落とす2人に気づくことなく
慶喜と一葵の待つ部屋へ向かう


ふと、廊下で立ち止まる


『ここにいたのがずっと前みたい』


昼間、陽当たりの良いこの場所を陣取り、繕い物をしたことを想い

庭に向かって座る