神楽から追い出されて2年。
あれから、通りすがりに神楽のメンツを見かけることがあっても
声を掛けられる事も無かったし、声をかけることもしなかった。
あたしが、神楽を、あのメンツを信じられないからだ。

そして、今は

「ママぁ?」

玲央君の弟である麗君に貰ったお気に入りの
イルカのぬいぐるみを持ってあたしの所に来た
2歳になったばかりの娘の姫奈(ヒナ)
イルカのぬいぐるみは、誕生日に貰ったばかりのプレゼントだ

「おはよう。姫奈」

「おはよぉ」

まだ、眠いのか目をこすっている姫奈。
姫奈は、成長に連れて星哉に似ているところが多くあって
やっぱり、星哉との子供なんだなって思う事がある

「ほーら。姫奈。顔洗って、歯を磨いておいで」

「えー」

「えー。じゃないの。麗君たちと出かけてくるんでしょ?」

ぱあああと明るくなった姫奈。
父親がいないことにきっと違和感があるのかもしれないけど
それでも、それを聞いてこない姫奈
いずれは聞かれるのだろうか?

ピンポーン

「はーい」

ドア本を確認すると、ラフな姿の玲央君と麗君

「おはよう」

「あぁ」

「姫奈は」

「今、顔を洗ってる。これから朝ごはんなの」