空仰げば、遠くにキミ。【完】




「あー、アレね!上から見えるよ。あれやってたの武藤さんだったんだ〜。空飛べた気になんない?」


「うーん、空は近くに見えるような気もするけど」



バーをイイ感じに越えられた時の快感ったらない。


あの時の快感は、何にも変えがたいと思う。



「そっかー。羨ましいなー」


「古泉くんは部活入ってないんだっけ?」


「うん。高校は遊ぼっかなー、って思って。あ、こんなこと部活やってる武藤さんに失礼か。じゃ、部活頑張って」



古泉くんは、ぬいぐるみを受け取ると、指で弾くように器用に投げながら去っていった。