空仰げば、遠くにキミ。【完】




ムダなことを考えていると、ポールがいつもよりも少し違う方向にうねった。


あ、まずい。


これはヤバいかも。


なんとか、バーは越えられたものの、私は体勢を崩し着地に失敗した。



「武藤、大丈夫か?」



咄嗟に駆けつけてくれたのは、中距離専門で隣のクラスの黒谷だった。



「うん。大丈夫」



おかしな着地だったけど、落ちたのがマットの上だったことが何よりもの救いだったと思う。