その瞳に映るのは



歩いてきた廊下を戻るとすぐに王子を見つけた。


「王子、ちょっと面貸せ。」

「なんだ?」


そう言うと、王子と一緒に歩いてたクラスメイトが先に体育館に向かったから、その場で王子と声を潜めて話した。



「紗…三島の運動着がボロ切れにされてた。」

「三島の?……そうか。くそっ、なんでよりによって運動着なんて。」

「……お前、何か知ってるのか?」

「知るわけねぇだろ。でも昨日の今日だ。
俺ら絡みなのは分かるだろ?
授業終わったら高田に話してくるよ。」


そう言って王子は授業の後、高田に話した。


昼休みに高田がうちのクラスに来るとすぐに話題は紗夏の事になった。



俺らのせいで紗夏がこんな目に合ったというのに、当の紗夏は申し訳なさそうに視線を落として話しを聞いていた。


その姿を見ただけで犯人への怒りは最高潮に達しそうだった。