「あの時、今井って言ってたよね?」



……宮野くん聞こえてたんだ。



「…言っておくけど、雅人は今井のこと憎んでるくらい毛嫌いしてるから。」


「え?」


思わず宮野くんを見つめて問い返すような声が出た。



「2度も同じ手で在りもしない噂を立てられたから。あいつの前で今井の名前出すとすげぇ不機嫌になるよ。」


そう言いながら上体を起こして今度は頬杖をついた宮野くんと視線が同じ高さになった。



2度も同じ手?



1度目は…私と噂された。

2度目は……今井さん?



「本当に?」


宮野くんを見つめたまま無意識に口が動いた。

すると宮野くんの顔が緩んでいつもの優しい表情になったから、真面目に話をしてくれたんだと気付いた。