「…マジで?」
「うん。
まああたしみたいなオチこぼれが分かるわけないかもしれないけど…
結構辛いんだね、
親が有名人って。」
「…ごめんな?
俺…
てっきりミナちゃんは
父さん目当てか
俺を父さんの分身てしか見てないから
敬語使ったりすんのかと思ってた。」
「まあ今までそういう人が沢山いたんだろうから、
そういう疑いがかかるようになっちゃったんだよ。
和広君は悪くないと思うけどなあ…」
辛かったんだね、和広君…
ホントは自分の実力だけを見て欲しい
自分の実力で認めて欲しい
そんな気持ちが
この上なく和広君の中にあるのが
その寂しそうな目を見て分かった。
「あたしは
『和広君』に憧れてんだからね?
忘れないで!!」
あたしはそう言うと
和広君の頭をぺシッと軽く叩いた。
「あたっ!
あー叩いたなこいつー!」
そう言って和広君は
あたしの頭を叩き返した。
そうこうちょっかい出し合ってるうちに、
目的地である終点に着いた。
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