「待って。」
私を呼び止めたのは、しんやくんだった。私の腕を掴んで離さない。
「離して。」
今は一人にして欲しかった。美紀ちゃんを探しに来たんでしょ?ならもう私は用済みでしょ?
「離さない。離したら、瑠奈、逃げるでしょ?」
こういう時だけ名前呼ぶなんてずるいよ。
なんて優しくするの?もう辞めてよ。辛いよ。
「俺の話聞いて。」
しんやくんは本気だと思った。だから、私は話を聞くことにした。
「美紀。先に行ってて。」
いいのに。美紀ちゃんと帰って。もう私のことはいいよ。
「いいよ。美紀ちゃんと帰りなよ。私はもう良いから。」
しんやくんは凄く傷ついた顔をしてた。なんで?なんでそんなに苦しそうな顔をするの?
「しんや。私、今日は一人で待てるからいいよ。いつもありがとう。」
いつもなんだ。そう、だよね。
美紀ちゃんが部屋から出ていって2人きりになった。

