────それを…聞いた瞬間
さっきまで聞こえていた視聴覚室の壁にかけられている時計のカチ…カチと
時を刻む音も…何も聞こえなくなって
わたしは…止まった時間の中で呼吸することさえ忘れてしまった。
「…みつのこと、はじめて見た時から…頭から離れなかった。ずっと…前からお前のことを見てたんだ」
どこか苦しそうで、絞り出すかのように言われた言葉は、周りの空気をも震わすくらい切なくて…
カラダの奥から…湧き起こる感情が眼尻に静かに姿を現わす。
胸が震えるなんて…経験を
わたしは この時 はじめてしたんだ。
「今でも…俺、しっかり覚えてる。みつが入学してきた日のことを──」


