起きた時には、太陽は上がり

カゲロウを作ってた。

いつも通りの時間に母はやって来ていた。

浴衣姿だった。

「先生から少しの間なら着替えていいって許可もらったよ。」

「花火見る時に着替えようね。看護師さんにも手伝ってもらって。」

私の視線の先に浴衣をかけた。

朝顔模様の浴衣。ピンクの帯。

鼓動を表すの機械音は母の鼻歌にかき消された。

徐々に迫る死は夕方に「あと1時間」と私に教えてくれた。

私は看護師さんに手伝ってもらい浴衣に着替えた。

母はとても嬉しそうだ。

本当は車椅子で屋上から見たいけど

「暑いから」と言う理由でベットで横たわって花火が上がるのを待った。

看護師さんも数人集まって浴衣をほめてくれた。

死ぬには綺麗すぎる衣装だ。