タオルや着替えを入れ替える母

もう明日には死ぬからそんなの必要ないよ。

生まれた時から弱かった心臓。

ドナーも現れず母はなんども泣いていた。

もう、泣かなくていいよ。

死んじゃうから。

「死」に対しての恐怖は

母を解放してあげられる「安心」で隠した。

「そうそう、明日花火大会があるんだって。ここからでも見えるよ。」

窓から街をゆびさす。

「一緒に見ようね。」

『…うん。』

最後の約束かもしれないね。

笑う母の顔を見るのが少し辛かった。