「私 仕事辞めて 田舎に帰ろうかな。」

久しぶりに会った 綾乃は 

意外なことを言って 私を驚かす。


「綾乃?本気で言ってるの?」

「フフフ…やっぱり 無理よね。今さら…」

綾乃が本気で 福原さんとの別れを 

決意したことに 私は 気付いた。


無言で 綾乃を 見つめる私。

「私 福原さんに もう終わりにしようって 言ったの。この間…」

「えッ?福原さん 何て言った?」

「俺は 綾乃の人生に 責任を持てないから。綾乃が 止めるって言うなら 従うしかないって。でも 職場での関係は 変わらないから。今まで通り サポートするからって。」

「福原さん ズルいよ。最後は 綾乃が 幻滅するくらい 嫌な男にならないと。」

私は 綾乃の 揺れる気持ちが 心に響いて 切なかった。


「私達 こういう関係になって 1年目に 一度 別れようとしたこと あるの。でも 毎日 顔を合わせていたら 気持ちが 戻っちゃって。」

「そうだよね…」

「だから 福原さん。今度も 私が 戻るって 思っているかもしれない。」

「綾乃は?まだ 揺れてるの?」

「ううん。私 今が 最後のチャンスだと思っている。ここで 切れなかったら 一生 このままだと思う。」

「だから 福原さんから 離れようとしているんだ?」


私の問いかけに 綾乃は はっきりと 頷いた。


やっと 私が 幸せに近付いたのに。

今度は 綾乃が 苦しんでいる…


どうして 一緒に 幸せになれないのかな。