それから 私達は 頻繁に 会うようになった。


帰りに 待ち合わせて 食事をするだけでなく。

休日 映画に行ったり 街を歩いたり。


『それ 完璧なデートじゃない!』

誠とのことを 綾乃に話すと

綾乃は 呆れた声で 笑った。

『えー。でも 告白されてないし。』

『今更でしょ?渚は 付き合ってるつもり なんでしょう?』

『別に そういうわけでもないけど…』

『誠は 付き合ってるつもりだよ。多分。』

『そうかな。昔の同級生として 遊んでるだけかも。』

『いい大人が。何言ってるの。』

『だって。本当に 一緒にいるだけだもん。何も してないし。』


一緒にいる時間は 楽しいし。

多分 誠も 楽しんでいるけど…


誠が もう一歩 踏み込んでこないから。


『はぁ。あんた達 いくつよ!』

『でもさ こんな 曖昧な関係も いいよ。』

『そんなこと言ってると 渚 また フェードアウトされるから。』

『あー。綾乃 ひどい!古い傷 持ち出さないでよ。』


ずっと 恋愛から 遠ざかっていた私は

呆れるほど 臆病で 意気地なしだった。