大切な芸人(ヒト)~ヒーローと始める恋の奇跡~

「なぁ、聞いて言い?」とコイツは聞いてきた。

「ああ、いいよ。なんだ?」とオレが言うと、

「この辺一帯は森林地帯だよな?もし、このキャンプ場が何らかの形で火災でもなったらどうなる?」と聞いてきた。

えっ?今それ気になるの?とオレは思った。

「そうだな。例えばキャンプファイヤーとかの大きな火が飛べば大火災になることはあり得る。そうなると森林火災で厄介なことにはなるな。けど幸い、川もあるし、海からも近い、火の不始末が原因の火災になったとしても大損害にはならず、小規模に抑えることが出来るだろうな。けど、何がいつどう起きるか、わかんないから気はつけないと行けない。キャンプファイヤーだけじゃない。花火やタバコの不始末、炭の不始末でも火災は起こりゆる。まして、周りが森に囲まれた空間では少しの火が風で飛んで燃え広がることもある」とオレは言った。

「そうだよな。楽しみながらもちゃんとそう言うことは気をつけないといけないってことだよな~酒入って弱くなるとそう言うことだって起こりかねないし」と言う。

オレは大きく頷いた。

「まぁ、オレは飲んでないけどね?」と言って。

「…お前ってさぁ、いつもそんな事考えてんの?火災とか…」と聞いてくるコイツ。

「…そうだな。海に行けば水難事故起きないことを考えるし、起きたらどう行動起こすかとか、もし火災に巻き込まれたら、どう対応するかとかそんな事ばっか考えてるかもしれないな」とオレが言うと、

「…生粋の…ヒーローなんだね。そんなお前が芸人として最近人気あることに驚くよ。ホントに…辞めても充分仕事出来るわけでしょ?」と言われた。

確かにそうかもしれない。

こう見えても、消防士時代に救急救命士の資格だって取った。

けど、今はまだ辞める気は更々ない。

今の仕事好きだし。

「…辞める気無いんだろ?当分。なら忙しくても、ネタ手を抜くな。手を抜いて良いときは俺と一緒にいるときだけだ」と言われた。

オレは素直に頷いた。

芸人として、表に立つ時は手を抜かずにちゃんと仕事しないと行けない。

休みはしっかり休んで息抜きする事…スゴく大事なことなのに、それも出来てなかったなんて…オレって本当に情けない。

「…けど、無理はすんなよ?いつでも頼ってくれていいから」と言ってくれる。

オレはありがとうと言った。

初めてコイツに会ったとき、かなり恨んだ。最初嫌いだったはずなのに…

気づけばオレはコイツに思い切り甘えてた。

で頼りきってる。

良いのか?って思うけど、コイツが受け入れてくれるならそれで良いんだろうって思う。