大切な芸人(ヒト)~ヒーローと始める恋の奇跡~

しばらく走ってキャンプ場に無事着いた。

静かで緑に囲まれた空間。

オレらは車をおり、しばらく辺りを散策した。

空気がとてもおいしかった。

スゴく大きなところで、バーベキュースペースがあり、料理も準備されていた。

オレらは二人きりのバーベキューを始めた。 オレは焼き番ではなく、食べることを専門としたので、オレの変わりにコイツはオレの分まで焼いてくれた。

皆でワイワイ盛り上がるものだとずっと思ってたけど、こうやってしっとり、ガッツリやるのも悪くない。

焼かれた肉や野菜、シーフードたちを美味しくいただいた。

けど。オレの難癖が、オレを少し苦しめていた。

それは…元消防士として、火消しをしていたことだ。もう辞めて何年も経つのにいまだに火を見ると消したくなる衝動にかられるのだ。バーベキューの火にさえそう思うのだから、キャンプファイヤーみたいなのをやると、地獄を味わう気がする。

さすがに花火は大丈夫だと思うが。

オレは眉間にシワを寄せて、深い顔をしていたのだろう。

そんなをオレを見て、コイツは楽しそうに横で笑ってやがる。

「何が面白いの?」とオレが聞くと、

「なんだろうね?何年経っても変わらないとことか?」と言われた。

意味なんてなかった。けど、コイツのおかげで楽しいのには変わりなかった。

「今度はさ、泊まりキャンプでもしようよ?」と言われてオレは頷いた。

ホントに楽しくて、いい気分転換になる。

最近は色々と忙しくてあまり遊ぶこともなく、色んなことに疲れていた気がしいていた。

だからこそ、こうやって息抜きできるのはホントに気持ちが良かった。

「たまにはこういうのも悪くないだろ?適度に息抜きしないと倒れるよ?最近遊んでないし疲れてるだろ?ネタに覇気がないんだよ、お前…」とコイツは言う。

気づいてたんだ…ネタが甘いことを。

「ライブネタ、既存ネタどっちにも甘さがあった。覇気のない芸は芸人として良くないと思ってね。確かに疲れているんだろうけど、らしさが出てなかったんだよ」とハッキリオレは言われた。

こんなにハッキリ言われたのは髄分久しぶりな気がするけど、同じ業界で苦楽を共にした仲だからこそ、言えるんだって思った。

オレらはそんな話をしながら椅子に座り、のんびり過ごした。

スマホは見ない、もちろん、音楽もかけない。

聞こえるのは森林の葉が擦れる音だったり、近くを流れる川の音。虫の鳴き声など

自然が鳴らす、美しいBGMだけ。

それがまたオレらの会話をもりあげた。