大切な芸人(ヒト)~ヒーローと始める恋の奇跡~

そして、オレはもうひとつ、知った。

当時オレのバディーだったあの人と同じチームで活躍していたメンバーがオレのことを応援してくれるっことを。

オレのあの時の姿が今のオレらの希望とやる気と勇気に繋がり、奮い起たせるんだって。

オレが芸人になることを決めて辞めた後に、どうしてもお礼を言いたいと清羅さんは消防署を訪ねたらしい。

そこでオレのことを詳しく教えてもらい、

スマホで芸人としてのオレを探し当てたらしい。そこからオレへのアプローチが始まっていたとのこと。

元相方のアイツにも手紙を書いたと言っていた。

だからずっとアイツはオレの側にいてくれたのかもしれない。

オレは出逢っていたんだ。運命の人に。

けど、こんなオレでいい?いつか消えるんだよ…

元々オレはそんなに売れてる芸人でも無いしさ…

そう伝えると「それでも良い。どんな時もずっと一緒にいられたら、それだけで良い、もし売れなくて、生活苦しくなったら私が養う」とまで言い出した。

オレってこんなにも愛されてるんだ。

幸せもんだな。オレ。

後日、清羅さんのご両親に挨拶に行く前にウチに挨拶に来た。

お父さんもお母さんも歓迎してくれた。

こんな息子だけどよろしくお願いいたしますって。

オレへの熱い想いをウチの両親に熱弁した清羅さん。

「良かったわね!良い子に出逢えて」とお母さんは言ってくれた。

ありがとうとオレは言った。

その後は他愛なく会話を楽しんだ。

数日後、いよいよ今日は清羅さんの家にご挨拶に行く。

緊張しまくってヤバい…。変な汗が出てきた。

オレはスーツに着替えて、準備を整えた。

お土産も準備して。

そこに清羅さんが来た。

「…ゴメン!もう少しで終わるから」とオレは言いながら、髪の毛のセットなどをする。

「もぉ~そんなに気負わなくて良いのに~」と清羅さんも言いながら、どこか楽しそうだった。

「…お父さんとお母さんへのお土産これなんだけど…大丈夫そうかな?」とオレが言うと、

「…二人ともに用意してくれたの?ありがとう!喜んでくれると思うわ」と言ってくれた。

かなり時間はかかったけどなんとか準備を終えて家を出た。

オレが車を運転し、清羅さんが横に座った。

緊張からか、運転する手は少し震えていた。

「大丈夫だって!」と清羅さんは笑う。

一時間弱走って、ようやく清羅さんの両親の住む家に着いた。

周りは見覚えあるが、家はこじんまりしており、だいぶ小さくなっていた。その代わり、ガレージと庭が大きくなっているように感じた。