「お前は確かに宝を奪うという試合には勝ったばい。でも、本当の勝利は未来ちゃんやけん。まあ、お前にはきっと意味はわからんけんね」

「ああ、わからないさ」

そう言い、悪魔は消えていく。その様子を見ているだけの未来に帆高は力強く笑った。

「仲間を傷つけるかもしれない、そう気付いて行動を止めれた未来ちゃんは強いばい。明るくて、強くて、こうして優しい。そういうところが好きになったけん」

その言葉に、帆高の笑顔に、未来の胸が高鳴った。



全員が合流したところで、遺跡から未来たちは出て道を歩き出す。しかし、レイフに化けた悪魔のせいで休憩がほとんどなかったため、すぐに休憩となった。

「冷たい飲み物、買って来よう!」

大地がそう言い、英美里たちは走っていく。しかし、未来はその後ろ姿をボウッと見ていることしかできなかった。

「未来ちゃんも行かんの?」

スケッチブックを広げ、何かを描きながら帆高が訊ねる。未来は「うん……」と言い、帆高の描いている絵をチラリと見た。そこに描かれていたのは、未来たちが笑っている顔だ。