あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

「すごく上手!あたしにもこの画力を分けてほしいくらい!」

未来がそう言い笑うと、帆高は「そんなことないよ」とはにかんだ。しかし、すぐにその顔は暗いものに変わる。

「僕は、絵を描くことしかできやんけん。字の読み書きができない代わりに絵を描くようになったばい」

「字の読み書きができない?」

未来が首を傾げると、帆高は「ディスレクシアって知っとる?」と訊ねる。未来は「う〜ん。聞いたことあるような、ないような……」と苦笑した。

「ディスレクシアっていうのは、学習障害って呼ばれる発達障害の一種ばい。知的能力には問題はないのに、文字の読み書きができないけん。……普通になりたい」

帆高はそう言い、小学生の頃はクラスメートから馬鹿にされたことなどを話してくれた。その言葉を聞いて未来の体が震える。

「そんなことが……」

「でも、この世界で文字が読めて幸せけん!それに何より、未来ちゃんたちに出会えた……」