「だからあの時……」

帆高の呟きに、大地は泣きそうな顔を見せる。

「俺、この世界でまた剣を振れて幸せなんだ。でも、現実に戻ってしまえば肩は痛くて……。でも、新しい夢なんて見つからなくて……」

「簡単に夢って見つからないよ」

俯く大地に、未来は心から思うことを口にする。

「だって、夢って本当になりたいものだから。本当に自分がしたいことだから。簡単には見つからない。だから、ゆっくりでいいんじゃないかな?だってあたしたち、まだ十四だもん」

未来が笑うと、大地の目から涙がこぼれ落ちる。そして何度も「ありがとう……」と言われた。

未来たちは宿に向かって歩き出す。空には満点の星、地面には穏やかな水、そして未来たちを優しい風が包んでいった。