あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

鉄でできた巨大な門の上を通り抜け、フェニックスはお城の周りをぐるぐる旋回し始める。入れる場所を探しているようだが、窓などは開いておらず、魔法が一瞬の間もなく飛んでくる。

「フェニックス、どうするの?」

瑠花が訊ねると、フェニックスは突然目の色を変えた。鋭い目になり、急上昇したかと思うと勢いよく窓に向かって突っ込んでいく。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

まるでジェットコースターに乗った時のような激しい動きに、未来たちは振り落とされないようしっかりフェニックスに掴まる。手を離してしまえば地面に叩き付けられ、命はない。

目を閉じる未来の耳に、ガラスが割れる音が響いた。そしてフェニックスが何故か姿を突然消したことで、未来たちはお城の地面に放り出される。

ジンジンと打ち付けたところが痛む。未来が目を開けると全員体をさすりながら起き上がるところだった。

「どうして急に消えたのかしら?まだ中に入れていない状態だったのに……」