あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

未来たちはそれぞれローザから部屋を貸してもらっている。未来は帆高の部屋の前に立った。緊張して、なかなかドアをノックすることができない。頬が赤くなっていくのを感じ、また胸が苦しくなる。

「帆高くん!ちょっといい?」

未来がノックをしてドアを開けると、帆高は椅子に座って文献を読んでいた。そのページはまるで百科事典のように分厚い。

「帆高くん……」

笑っていることが多い帆高が、とても真剣な顔をしている。未来は胸を高鳴らせながら声をかけた。しかし、帆高は集中しているのか文献から顔を上げない。

「帆高くん!」

未来が帆高に近づき、肩を軽く叩くと帆高は「わあ!」と驚きながら顔を上げる。そして未来をその目が捉えた刹那、その頬を赤く染めた。

「み、未来ちゃん……」

「文献で調べてもらっている途中にごめんね。どうしてもお礼を言いたくて……」

「お礼?」

「その……あたしは瑠花ちゃんのそばにいるだけだけど、帆高くんたちは一生懸命街を走り回ったり、調べてもらっているわけで……。ありがとう、本当にごめんね」