あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

丁寧にシトロンに頭を下げられ、未来もペコリと頭を下げる。シトロンは手帳とペンを取り出しながら話し始めた。

「この線を未来さんが住んでいる世界ーーー日本やアメリカがある世界だと思ってください」

シトロンは手帳に一本の線を書く。それを未来はジッと見つめていた。

「僕たちは未来さんが住む世界とは全く別の世界ーーーつまり、未来さんのいるこの線ではなくこの線に住んでいるんです」

シトロンは先ほど書いた線の下に新しく線を書く。未来は「つまり……お二人はあたしとは別の世界の人間?異世界から来たってこと?」と呟く。

「まあ、異世界であることは間違いないな。正しくはお前の方が私たちに呼び寄せられたんだが」

ミーナがそう言い、シトロンも頷く。未来は「トリップさせられたってこと?」と首を傾げた。

「ミーナ先生はこのような幼い見た目をしていますが、実は千歳を越える人気小説家なんです。僕たちの世界では、あなた方の世界より寿命が長く、魔法と呼ばれるものも平気で存在します」