時計をチラリと見ればまだ小説を書く時間ではない。未来はこの気持ちを落ち着かせようと、スマホを取り出して音楽でも聴こうと思った。

「あっ!この歌い手さん、新しい歌ってみた動画出してる!」

未来の好きな歌い手が新しい動画を投稿していた。未来はドキドキしながら耳にイヤホンをさす。そして、動画を再生させた。


メルト 溶けてしまいそう
好きだなんて絶対に言えない…


耳に流れてくる恋愛ソングに未来は帆高の顔が何度も浮かんでしまう。そして「ますますドキドキしちゃう〜……」と顔を真っ赤にするが、音楽を止めることはできない。

ようやくその歌ってみたが終わったと未来がホッとした刹那、自動再生で次々に恋愛ソングが流れてくる。

「わあっ!もう無理〜!!」

胸がドキドキしすぎて壊れてしまいそうだ。未来がそう思った刹那、目の前が真っ白な光に包まれた。



未来が目を開けると、シトロンが目の前に立っていた。

「あっ、シトロン……」

未来がそう言うと、ニコニコしていたシトロンは不意に未来をジッと見つめる。