あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

階段から転げ落ちたら、ちょっとの打撲や痛いだけでは済まないだろう。未来の顔は真っ青になり、恐怖が心にこみ上げてきた。

スローモーションのように落ちていく未来を刹那、太陽のものではない白い光が包み込んだ。



未来は草の匂いで目をそっと開けた。目の前に広がっているのは緑の芝生で、未来は驚いて起き上がる。そこには、手入れのされた美しい庭が広がっていた。

「えっ！？ここ、どこ！？」

未来が後ろを振り向くと、目の前にはまるでテレビに登場しそうな美しいゴシック建築のお城があった。

「えっ……？ここって天国？」

階段から落ちた自分は打ちどころが悪くて死んでしまったのか、そんなことを未来が思っていると「やっと気が付いたか！遅いぞ！このノロマ！」と声をかけられる。未来が振り向くと、いつからいたのかヘッドドレスを頭につけ、赤いリボンのついたロリータを着た八歳ほどの女の子が立っていた。その手にはおいしそうなピザがある。