「なんだ?あれは?」


 葉月洸乃(はづきこうの)(すけ)は、ボード(空中(くうちゅう)飛行(ひこう)する(いた))に()って学校(がっこう)から(かえ)途中(とちゅう)近所(きんじょ)公園(こうえん)不思議(ふしぎ)光景(こうけい)()た。


 いぶかしそうに公園(こうえん)(なが)める(かれ)は、家族(かぞく)友人(ゆうじん)から「(こう)」と()ばれている中学(ちゅうがく)一年生(いちねんせい)

 私立(しりつ)(しん)学校(がくこう)(かよ)()から(はな)()けるような知的(ちてき)(かお)()ちの優等生(ゆうとうせい)だ。くわえて、運動(うんどう)神経(しんけい)抜群(ばつぐん)で、文武(ぶんぶ)両道(りょうどう)タイプだ。


 (こう)()にしたのは公園(こうえん)中央(ちゅうおう)あたりで(ひか)物体(ぶったい)だった。


 好奇心(こうきしん)旺盛(おうせい)(かれ)は、ボードから()りて(うで)にかかえ、その(ひかり)(ちか)づいていく。

 (こう)園内(えんない)にも公園(こうえん)周囲(しゅうい)にも(ひと)はいるのに、(だれ)()づいていないようだった。





「リングか?」


 リングとは指輪(ゆびわ)のことだが、ただの指輪(ゆびわ)意味(いみ)するものではない。簡単(かんたん)()えば、指輪型(ゆびわがた)のパソコンだ。

 現在(げんざい)は、二〇五〇(ねん)日本(にほん)

 かつてパーソナルコンピューターと()ばれた(じょう)(ほう)(しょ)()端末(たんまつ)は、スマートフォンという携帯(けいたい)端末(たんまつ)()て、指輪(ゆびわ)眼鏡(がんきょう)など()()けられる(ちい)さなウェアラブル(たん)(まつ)主流(しゅりゅう)となった。

 (いま)では(からだ)一部(いちぶ)()()(ひと)さえ大勢(おおぜい)いる。指輪(ゆびわ)端末(たんまつ)なんて、もう(だれ)(おどろ)かない、(ふる)(たん)(まつ)だ。

 しかし、(こう)はその(ゆび)()(ひろ)うことを|躊(ちゅう)(ちょ)していた。

 (ひか)(かた)がとにかくあやしい。




 まばゆいほど(あお)紫色(むらさきいろ)(ひかり)(はな)っている。そのことが(こころ)()っかかっていたのだ。

 すると、()(おぼ)えのない(こえ)(みみ)(はい)る。


(わたし)()()ってください。」


「ん?だれ?」


「はやく。(こう)さん、(ひろ)ってください。」



※第2話につづく