あの子に出会ったのは、小学校に上がってすぐだった。

僕が住む町では、殆どの子供が同じ小学校に通うことになる。

入学式で親父とお袋は嬉しそうに僕の写真を撮っては「大きくなったねえ」と僕を撫でた。

大きな手が嬉しくてむず痒くて、なんだか気持ちが良かった。

とても暑い、春とは似つかないような。そんな日だった。

涼子は静かで、名前の通り涼しそうな女の子だった。こんな暑い日なのに汗ひとつかかず、真っ黒な顎くらいの髪がサラサラと揺れていた。