「どーよこの天国ルームは 最高過ぎだろ?」

俺はニヤリと笑って言ってやると、小夏は眉を寄せた。

「あのねぇ…、たくちゃんもう高3だよ?
受験生なんだよ? 漫画とかゲームとかに勤しんでる場合じゃないの!
大学決めなきゃだし、大事な時期なの!
勉強しなきゃ!」

小夏は頭を抱えて、そう言うと俺から漫画を奪った。

「勉強はちゃんとしてるから大丈夫だよ。」

そう言ってソファから立ち、グーッと上に伸びをする。

「嘘! 私が来た時いつもゲームか漫画読んでる所しか見た事ないもん!」

右手を腰に当てて、左手で漫画を左右に揺らす小夏は、疑いの目を俺に向けている。

「小夏が帰った後にやってるよ。」

そう言って俺は小夏のいる左側を通り、部屋を出て階段を降りた。

後ろから着いてくる小夏は何だかソワソワして落ち着きがない。

リビングに入り、キッチンへ行く。
冷蔵庫の横にある白い食器棚からグラスを2つ取り出し冷蔵庫から出した麦茶を淹れた。

グラスに入った麦茶を飲みながら小夏にもう1つの麦茶が入ったグラスを渡す。

「ありがと、そう言えば…たくちゃんママは仕事?」

小夏は俺から受け取った麦茶を1口飲んだあと首を軽く傾げた。

「あぁ、今日も午後から大学で授業だからな。」

「大学教授だもんね〜。
凄いよね!」

「だな、尊敬する。」

「たくちゃんパパも医者だから
たくちゃん…昔から家に1人でいるよね…。」

眉を下げて声のトーンを落とす小夏に俺は右手でチョップを入れてやった。

「別に、いつもの事だろ?
それに、寂しくねぇーよ 小夏がいるし。」

そう言って空になったグラスを流し台に置く。

「たくちゃん、やっぱり付き合おうよ!」

そう言って俺の背中に飛びついてくる小夏を俺はベリっと引き剥がしてため息を付いた。

「あのなぁ… 俺達は幼馴染み、それ以上も以下もない。」

そう言うと小夏は「ちぇっ」と唇と尖らした。